2015.02.02
養子は一人だけ??
お客様からよく頂戴する質問があります。
それは「相続対策の養子縁組は実子がいる場合は一人しかできないんですよね?」というものです。
答えは「NO」です。何故この様な誤解が生まれるのか?
それは「民法」と「税法(この場合は相続税法)」を混同しているからです。
民法では養子縁組できる人数について制限はありません。
実子がいても何人とでも養子縁組が可能です。
当然養子縁組の人数が増えれば増えるほど各相続人の法定相続分は減少します。
一方、相続税法では税負担を不当に減少させることを防ぐために、一定の制限を加えています。
もう少し具体的に言えば、相続税を計算する上での法定相続人の「数」に制限があります。
つまり、実子がいる場合は民法上の養子が何人いても「一人」としかカウントしないという意味です。
これにより、基礎控除額の金額を人為的にどんどん増やしたり、
相続税を計算する際に使う税率を意図的に引き下げて税額を少なくすることをブロックしています。
相続税法のこの制度があるために、冒頭の誤解に繋がっている訳です。
事例は異なりますが「贈与」においても似たような話があります。
それは「毎年税務署に贈与税の申告をして贈与税も納税しているから税務署はこの贈与を認めてくれますよね?」というものです。
これも答えは「NO」です。
贈与が成立しているか否かは、あくまでも民法上の問題であり、
贈与税の申告・納税をしているか否かは関係ありません。
詳しい説明は省略しますが、もし受贈者(贈与で財産をもらった人)が
「そんなの知らなかった」と言ったら即全部アウトです。
「なんちゃって贈与」(贈与者だけが贈与しているつもりの贈与)には十分ご注意下さい!